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文部科学省 新興・再興感染症研究拠点形成プログラム

  「中国との連携を基軸とした新興再興感染症の研究」

20世紀の後半は、医科学の進歩により、多くの感染症を克服しえたかに見えた時代でした。しかしその後多くの病原体は薬剤耐性という厄介な性質を得て復活し、さらに近年では、今までヒトとは縁がなかった新しいウイルスや病原微生物が出現し、重篤な病気を引き起こす例(新興感染症)が、世界中で、とりわけ発展途上国で起こるようになりました。これらの新興感染症は、もともと野生動物や鳥のウイルスなどで、自然界での宿主では病気をひきおこさないものに、ヒトがうつると重病となる例です。HIV、エボラウイルス、SARSコロナウイルス、鳥インフルエンザウイルスなどがよく知られています。新興ウイルスの流行がひとたび起こると、航空機の旅行が中心である現代では、あっというまに病気は世界中に広がる恐れがあります。しかし病原体がひとたび分離されますと、病原体の研究はその国の中でなされ、国境を越えないのが一般的です。そこで医科学研究所は、文部科学省の拠点形成プログラムのひとつ(代表:岩本愛吉)により、中国科学院および中国農業科学院と連携して、北京市に新興再興感染症研究のための連携研究室2つを設立し、ハルビン市においては鳥インフルエンザウイルス研究プログラムを立ち上げました。