東京大学医科学研究所

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所長メッセージ

東京大学医科学研究所同窓会総会 所長挨拶

2014年05月30日

 本日は、医科研創立記念行事にご参加いただきありがとうございます。

 皆様ご存じのとおり、来る2017年は、1892年に北里柴三郎先生によって大日本私立衛生会附属伝染病研究所として設立されて以来125年、また、1967年に医科学研究所に改組されて50年という節目の年となります。この間に本日ご参集いただいている皆様をはじめ多くの教職員と学生をはじめとする若手研究者が当研究所で活躍され、歴史的基盤を作っていただきました。今日までの医科学研究所の輝かしい成果および発展は偏に同窓生の皆様方のご努力の賜物と感謝申し上げます。

 総会にあたり、医科研と医科研病院の近況について、要点をご紹介したいと思います。

 本年3月をもちまして、病院長として4年間、病院の管理・運営にご尽力いただきました今井教授が退職されました。今井先生におかれましては、病院の管理・運営にご貢献いただいたのみならず、昨年11月には紫綬褒章を受章されるなど、日本の癌研究を牽引していただきました事心から御礼申し上げます。
なお、紫綬褒章につきましては、2011年に河岡教授、2012年に笹川教授、そして2013年の今井教授と3年連続で本研究所の研究者が受章をしています。誇るべき素晴らしい業績だと思います。

 病院長の後任として、本年4月より、小澤敬也教授にご就任いただきました。小澤先生は、1977年に東京大学医学部を卒業、79年に東京大学医学部第3内科入局、87年に医科学研究所病態薬理学研究部講師、90年同助教授を経て、94年から自治医科大学教授、20年ぶりに医科研にお迎えすることとなりました。小澤先生にはご自身がライフワークで進められている遺伝子治療の開発についても、橋渡し研究としてのご発展を期待しております。また、Center for Gene and Cell Therapyの設立にもリーダーシップを発揮していただき、遺伝子・細胞療法を医科研病院の一つの目玉として育てていただけると確信しております。

 また、所の運営管理に重要な、部門長会議には新たに癌・細胞増殖部門から山梨教授が代表としてご参加いただき、所の運営にご貢献いただいております。

 東京大学は昨年、研究環境の国際化の加速を推進すべくクロスアポイントメント制度を導入致しました。この制度を活用して、本研究所幹細胞治療研究センターの中内啓光教授は、今年1月より医科学研究所とスタンフォード大学の教授を併任されています。また、感染・免疫部門と感染症国際研究センターの河岡義裕教授は、7月より医科学研究所とウィスコンシン大学の教授を併任される予定です。このことにより、スタンフォード大学幹細胞生物学・再生医療研究所及びウィスコンシン大学マディソン校インフルエンザ研究センターとの全面的な相互協力体制のもと、本研究所幹細胞治療研究センター及び感染症国際研究センターのグローバル化が一層促進されると期待しております。

 4月からは私ども執行部も2期目の最終年度を迎え、新たに気持ちを引き締めながら、引き続き当研究所・病院の運営・管理に邁進してまいります

 さて、それではIMSUT One to Gogo プロジェクトに話題を移したいと思います。昨年の同窓会でもご紹介しましたように、本プロジェクトは医科学研究所の前身である大日本私立衛生附属伝染病研究所の創立から125周年、現在の医科学研究所に改組されてから50周年の大きな節目となる2017年を目指して、世界の頂点に立つ医科学研究所・医科研病院を目指して推進しているものです。 

 昨年の同窓会では、IMSUT One to Gogo プロジェクトの具体化に向けた4つの重要な柱として、1.医科研財団(IMSUT財団)設立の具体化、2.プラチナウエスト再開発プランの青写真作成、3.医科研の進化に向けたアクション・プラン完成、4.医科研における人材育成(東大附置研としての大学院教育への取り組み)をご紹介させていただきましたので、その後の進捗状況等についてご紹介させていただきます。

1.医科研財団(IMSUT財団)設立の具体化

 医科研財団(IMSUT財団)の設立につきましては、昨年の同窓会総会においてご審議いただき、財団設立についてお認めいただき、同窓会として全面的ご支援を賜れることになりました。

 現行のシステムの中で、医科学で最先端を走る東大附置研究所である医科研と医科研病院が戦略性と柔軟性を発揮して、当研究所・病院はもとより、東大全体、そして国内外の医科学研究・人材育成を通して人類、社会に貢献するため、医科研財団設立に向けての検討を重ねています。

 また、本年4月、東京大学医科学研究所創立125周年/改組50周年記念事業「IMSUT One to Gogo基金」を東大基金の中に部局指定基金として開設いたしました。本基金は、医科研が世界の頂点に立つ医科学研究機関となることを目指して、世界に通用する人材育成基盤の強化、世界的に遜色のない研究環境の整備、また全世界との積極的な研究・人材交流などを目的とした事業のための寄附を募るものです。

 具体的な事業としては、1.グローバルな医科学人材養成、2.国際研究拠点の設置、3.記念国際シンポジウム、4.医科研キャンパス(白金台地区)施設の充実などを考えています。詳細につきましては、本日、配布いたしましたリーフレット、または東京大学基金のホームページをご参照いただき、基金設立の趣旨にご賛同いただけましたならば、是非ともご協力のほど、よろしくお願いいたします。

2.プラチナウエスト再開発プランの青写真作成

 本年4月、「東京大学キャンパス計画の概要」が全面改正され、新たに「東京大学キャンパス計画大綱」が制定されました。従来の「東京大学キャンパス計画の概要」には、白金台キャンパスについて記載されていませんでしたが、この「東京大学キャンパス計画大綱」には、本郷・駒場・柏の3極に連なる固有のキャンパスとして、白金台キャンパスが明記されました。

 また、昨年10月には白金台キャンパス整備計画WGが設置され検討が進められています。白金キャンパスを世界の医科学研究、異分野融合研究、TR研究のグローバルハブ開発研究拠点として進化させるため、3D、CGモデルを作成するなど目に見える形で、プラチナウエスト再開発を進めて参ります。

3.医科研の進化に向けたアクション・プラン完成

 医科研及び医科研病院が、世界が認める一流の研究機関および病院に進化するためのアクション・プランを完成させるため、現行の研究部門、センター等の研究施設について、例えば、ヒトゲノム解析センターをメディカルゲノムセンターへ改組する等、発展的な改組プランを検討しています。

4.医科研における人材育成(東大附置研としての大学院教育への取り組み)
  
 医科研は、大学院制度を中心とした研究者の養成機関としても大きな実績を持ち、医科学分野の研究者を目指す若い人々に理想的な教育・研究環境を提供しています。
   
 医科研が協力することにより平成16年度に発足した新領域創成科学研究科「メディカルゲノム専攻」は、来年度より「情報生命科学専攻」と併合し国内でも類を見ないユニークな新専攻、「メディカル情報生命専攻」として再編されます。この新専攻は、生命科学の情報化を先導し、ライフイノベーションに大きく貢献しつつ、その成果を臨床の現場にトランスレーションして行くことの出来る人材を教育することを目標としています。医科研は、さらなる連携強化を図り、医科学を中核にしたグローバルスタンダードの「学融合」を引き続き追求し、病院を有する大学附置研の立場から、新しい医科学教育への貢献に務めて参ります。

 以上、IMSUT One to Gogo プロジェクトの具体化に向けた4つの重要な柱について、ご紹介させていただきましたが、さらに、このプロジェクトを推進するものの1つに、国際化戦略があります。医科学・生命科学分野で自他ともに認める世界トップレベルの研究所および附属病院となるためには、国際化は非常に重要な戦略の1つとなります。加えて、2020年に東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定した事を受け、これから日本社会全体の流れが積極的に国際化に向かう事が予想されます。そのような時代の流れの中で、医科学研究所は、日本を代表する学術研究機関として率先して日本社会の国際化をリードしていくことを期待されています。その中核的働きをするのが、我々の使命だと考えています。

 医科研財団をはじめとしてIMSUT One to Gogoの具現化の道を歩み続けるには、我々現役がその牽引的役割を果たしていかなければいけませんが、諸先輩のご支援、高所大所からのご指導、ご協力が欠かせません。同窓会会員の皆様方の、医科研の活動へのご理解とご支援、積極的な参加をお願いいたしまして、私からのご挨拶とさせていただきます。

ご清聴ありがとうございました。