東京大学医科学研究所

  1. ホーム
  2. 医科学研究所の紹介■所長メッセージ

所長メッセージ

東京大学医科学研究所同窓会総会 所長挨拶

2013年05月31日

 本日は、医科研創立記念行事にご参加いただきありがとうございます。
 皆様ご存じのとおり、来る2017年は、1892年に北里柴三郎先生によって大日本私立衛生会附属伝染病研究所として設立されて以来125年、また、1967年に医科学研究所に改組されて50年という節目の年となります。この間に多くの教職員と学生をはじめとする若手研究者が当研究所で活躍され、歴史的基盤を作っていただきました。今日までの医科学研究所の輝かしい成果および発展は偏に同窓生の皆様方のご努力の賜物と感謝申し上げます。

 総会にあたり、医科研と病院の近況について、要点をご紹介したいと思います。本年3月をもちまして、前所長・元副所長として8年間所の運営・管理にご尽力いただいた腫瘍細胞社会学教授の清木元治先生が退職されました。清木先生には癌研究者としても白金キャンパスでご活躍いただき、日本の癌研究を牽引していただきました事心から御礼申し上げます。一方で、昨年末には公共政策研究分野の教授選考があり武藤香織先生を教授会メンバーにお迎えしました。また、医科研病院の橋渡し研究拠点として一翼を担う抗体・ワクチンセンター教授に田中廣壽先生をお迎えいたしました。両先生には医科研が誇る最先端基礎・臨床研究において重要な基盤である研究・医療倫理、そして病院のミッションである抗体医薬・ワクチン開発という領域でご活躍いただき、当研究所と病院の発展にご貢献いただきたいと思います。また、4月からは私ども執行部も2期目を迎え、新たに気持ちを引き締めながら引き続き当研究所・病院の運営・管理に邁進してまいります。所の運営管理に重要な、部門長会義には新たに基礎医科学部門から真鍋教授が代表としてご参加いただき、所の運営にご貢献いただいております。また、事務部に関しましてもIMSUT One To Gogoプロジェクトで最初に進めた事務機構改革(三課体制)後初めての人事異動があり、事務部長に紺野喜久恵氏、そして管理課長に平野裕士氏が着任され、所の運営管理にご尽力いただいております。

 我々は、同窓の皆様方が築き上げていただいたこの歴史ある伝統を大切にしながらも、創造的に次世代に向けての継続的進化の為の第一歩を踏み出すべく、また、自他ともに医科学・生命科学分野において世界トップと認める研究所となるべく、更なる進化を目指し、IMSUT One to Gogoプロジェクトとして、次世代グローバル型の医科学研究所になるべく、日々「挑戦」しております。

 IMSUT One to Gogoプロジェクトについては、これまでに教授会、教授総会、運営会議、部門長会議、などで検討を重ね、昨年までの同窓会等でもその経過についてはご紹介してまいりましたが、今年、2013年はIMSUT One to Gogo プロジェクトについて、その具体化に向けて踏み出す重要なカギとなり得る年と考えております。
 ここで、IMSUT One to Gogo プロジェクトの具体化に向けて4つの重要な柱をご紹介します。


1.医科研財団(IMSUT財団)設立の具体化
 ご存知のとおり、2004年4月に国立大学は法人化されました。以来、毎年政府から交付される運営費交付金は減少する一方です。本日お集まりいただいた同窓の皆様良くご存知のように、東京大学は法人化されましたが、完全に民営化されたわけではありません。我々は優秀な研究者や学生の獲得の為に他大学との世界競争を強いられる一方、資金調達や運営の自由度という点では国内外の著名な私立大学に比べると残念ながらまだ制約を受けています。
 そこで、現行のシステムの中で、医科学で最先端を走る東大附置研究所である医科研と病院が戦略性と柔軟性を発揮して、当研究所・病院はもとより、東大全体、そして国内外の医科学研究・人材育成を通して人類、社会に貢献するために、医科研財団(仮称)の設立を目指しています。
 国内外の一流の医科学研究者に、例えば、国内有力大学はもとより、スタンフォード大学、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学のような世界で一流の大学よりも医科研で研究したい、と思ってもらえるような魅力的な研究所になるためには、柔軟な制度設計と資金確保が大きなカギを握ることは言うまでもありません。
 医科研及び医科研病院が最先端の基礎・臨床医科学を効果的に進める上でも、様々な面で選択肢が広がります。そして、そこから得られるベネフィットを東大全体にも還元し、そして最終的には国内外の医科学研究推進に貢献しながら、世界の頂点を目指したいと考えています。

2.プラチナウエスト再開発プランの青写真作成
 白金キャンパスを世界の医科学研究、異分野融合研究、TR研究のグローバルハブ開発研究拠点として進化するためのプラチナウエスト再開発についてご紹介します。白金キャンパスの西側の建物は一部を除いてかなり老朽化してきています。建築物の耐震基準が益々厳しくなる昨今ですが、西側の建物の多くは30~40年前に建てられたもので、その中には研究室だけでなく、白金インターナショナルロッジや看護師宿舎も含まれます。
 これら建物の一新を含め、白金キャンパスでのグローバル型最先端医科学・生命科学研究の発展に必要とする施設の建設はもとより、その新施設が東大全体の医科学・生命科学の発展そして国内外の医科学研究全体に貢献することが大切です。そして、医科研はプラチナウエスト再開発を通して、東大をはじめとする日本及び世界中の医科学・生命科学研究者の為の世界的最先端医科学ハブ研究環境を整備そして提供することを視野に入れています。

3.医科研の進化に向けたアクション・プラン完成
 医科研及び医科研病院が、世界が認める一流の研究機関および病院に進化するためのアクション・プランを完成させるため、現行の3研究部門(感染・免疫、癌・細胞増殖、基礎医科学)、6センター(ヒトゲノム解析、システム疾患モデル研究、先端医療研究、幹細胞治療研究、感染症国際研究、国際粘膜ワクチン開発研究)、疾患プロテオミクスラボラトリー、実験動物研究施設、奄美病害動物研究施設、遺伝子解析施設等の研究施設について、将来有望な研究領域を見据えながら、効率的かつ柔軟な運営形態を検討しています。

4.医科研における人材育成(東大附置研としての大学院教育への取り組み)
 医科研は、大学院制度を中心とした研究者の養成機関としても大きな実績を持ち、医科学分野の研究者を目指す若い人々に理想的な教育・研究環境を提供しています。東大が誇る多様な研究科の実地教育・研究の場として、白金キャンパスが若い研究者志向の学生達にいかに魅力的な教育・研究環境をシステマティクに提供していくかを検討しています。医科学を中核にしたグローバルスタンダードの「学融合」を引き続き追求し、病院を有する大学附置研の立場から、新しい医科学教育へのより積極的な係わり方を模索しております。

 以上、本年度進めているIMSUT One to Gogo プロジェクトの具体化に向けた4つの重要な柱をご紹介させていただきましたが、皆様には、是非医科研OBそして同窓としてご理解、ご協力そして高所大所からご指導を頂戴したいと思います。

 医科研では北里柴三郎博士が伝染病研究所を設立した当初から、病原菌を純粋培養によって同定する基礎研究を行う一方で、病院を持ち、研究成果を抗血清やワクチン作りに応用して病気の予防や治療に役立てることを実践し、社会に貢献してきました。そして、研究を行うだけではなく、血清、ワクチンの製造、販売を行い、研究所運営と研究経費の大部分を賄い、更に定期的に細菌学の講習会を開いて全国の衛生技術者などを教育していた時代もありました。

 我々は、これら先人の例も踏まえ、医科研財団を通して、当研究所、病院はもとより、東大全体、そして国内外の医科学研究・人材教育に貢献していきたいと考えております。医科研財団の設立をはじめ、IMSUT One to Gogoプロジェクトを推進するにあたっては、今日お集まりの同窓の先生方そして他の同窓会メンバーの皆様のご理解とご協力を賜りながら、現在の教職員、所員一丸となって進めてまいりたいと思います。この機会を通して、同窓会としてのアクティビティをより高め、そのネットワークを充実したものにしたいと思います。
 医科研財団をはじめとしてIMSUT One to Gogoの具現化の道を歩み続けるには、我々現役がその牽引的役割を果たしていかなければいけませんが、諸先輩のご支援、ご指導、ご協力が欠かせません。同窓会会員の皆様方の、医科研の活動へのご理解とご支援、積極的な参加をお願いいたしまして、私からのご挨拶とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。