東京大学医科学研究所

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所長メッセージ

清野所長就任挨拶 "IMSUT Gogo"

2011年04月01日

 新年度を迎え、本日より所長に就任致しましたこと、大変光栄に感じております。新所長として皆様にご挨拶申し上げます。

 私は昨年12月の教授総会にて第26代所長に選出され、皆様の先頭にたって伝統ある東京大学医科学研究所を牽引していくことに対しての責任の重大さを感じ、一方で当研究所が誇る最先端医科学領域において、世界をリードする基礎研究推進とそれに立脚した最先端医療を目指している皆さんと一緒に未来に向かって挑戦する素晴らしい機会に期待をしております。

 就任挨拶に先立ちまして、まずは東北関東大震災及び津波によって亡くなられた方々に心よりお悔やみ申し上げます。また、被災者の方々にも心よりお見舞いを申し上げます。職員のご家族・ご親族の中にも犠牲者・被災者の方がいらっしゃるとお聞きし心が痛みます。医科学研究所及び学生・教職員への被害は最小でありましたが、被災地の復興および被災者の方々の支援につきましては、今後もできる限り所一丸となって取り組んでいきたいと思います。同時に、我々は科学者として、新たな発見の前に立ちはだかる困難に果敢に立ち向かう「科学者魂」を発揮していかなければならないと考えています。このような歴史的国難に際し、日本は我々国民一人一人の最大限の努力を必要としています。医科学研究所の最大の強みは、医科学分野での最先端の基礎・臨床研究にあります。我々が「研究者魂」を発揮することにより、日本の復興へ最大限貢献できると考えています。

 第25代所長である前任の清木元治教授は、4年間にわたり地に足のついたリーダーシップを発揮され、医科学研究所の発展に大変ご尽力頂きました。深く感謝の意を申し上げます。本日までに医科学研究所関係者一同を代表して正式に感謝の言葉を述べる機会がございませんでしたので、この場を借りて御礼申し上げます。清木教授は所長に就任される前にも、当時の所長である山本雅教授のもとで4年間副所長を務められました。つまり清木教授は合計8年間という長期間にわたり、医科学研究所のために先頭に立ってこられたわけです。この間、ご専門である癌および腫瘍生物学分野の研究にあるいは支障をきたされたのではないかと思います。清木教授のリーダーシップと自己犠牲の精神によって、国立大学の法人化後の大きな経済的、社会的環境変化や困難の中にも我々は日々研究活動に専念し、数えきれない成果を挙げ、研究生活の喜びを満喫することが出来ました。この場をお借りし、再度清木教授に敬意を表したいと思います。

 また、これまでの4年間、同じ副所長として清木所長のもとで共に運営に関与してきた井上純一郎教授にも、この場を借りて深く感謝の意を申し上げます。医科学研究所における研究面および運営面での井上教授の努力と貢献にも敬意を表します。

 そのほか、執行部メンバーを務められた医科学研究所附属病院の前任および現任病院長の山下直秀教授および今井浩三教授、2名の前任事務部長である関正敬氏および今泉光史氏、そして医科学研究所の最先端研究機関としての中核を担う各研究部門・センターの長として所の運営にご協力いただいた先生方にも(岩倉洋一郎教授、斉藤春雄教授、中村祐輔教授、三宅健介教授、森本幾夫教授、山本雅教授)ここに敬意と感謝の意を表します。

 新執行部では、三宅教授と村上善則教授に副所長として、各々経理系と総務系を担当していただきます。さらに新事務部長として諸田清氏が分子細胞生物学研究所から着任されました。今井教授は引き続き病院長としてご活躍いただきます。部門長会メンバーとして伊庭英夫教授、井上教授、岩倉教授、斉藤教授、宮野悟教授、森本教授に所の運営にご協力いただきます。さらに、日本唯一の大学附置研究所附属病院は当研究所の大きな特徴であり、基礎・臨床研究成果とベッドサイドを直結する使命を有する病院であり、医療スタッフはもとより所員全員でその発展をサポートしていかなければいけません。


 医科学研究所を継続的に進化・発展させ、世界の医科学研究のトップとなる為には、我々が誇る所内英知を結集し、一丸となってチームワークを発揮し、その目的達成に向けて邁進していかなければなりません。一流の教授・教員陣、献身的な病院スタッフ、優秀な学生及びポスドク、熱心な技術系職員、そして勤勉な事務職員をはじめとする所員の全員が医科学研究所の前進に不可欠な存在なのです。我々全員で一丸となって世界の医科学の頂点を目指そうではありませんか!今日ここに御参集いただいている皆さん、そして重要な実験、病院または事務業務の為に、この場にいらっしゃらない方々すべてが、この共通の目標を達成するために必要な知力であり、医科学研究所にとっての宝なのです。

 所員の皆さんは、ご自身の医科学への知的探求心、医科学分野をリードしていくという意欲、疾病の予防・治療に貢献するという使命感、そして次世代を担う優秀な研究者の育成に携わるという目的意識から、日々少なくとも1/3から1/2、場合によっては2/3を医科学研究所で過ごされていると思います。我々は基本的に、このような同じ価値観を共有しています。我々は、所員として個々の研究成果が評価の高い学術雑誌に掲載されることを誇りに思い、新発見・知見が疾病の新しい予防法・治療法の開発につながるという信念のもとに日々研究を推進し、人生においての輝かしい時間を日々共有している家族のような仲間です。医科学研究所では、毎年のように将来医科学分野の先頭に立って活躍する可能性を秘めている優秀な大学院学生や若手研究者を育て、社会に輩出しています。それはまるで、皆さんご自身の家庭において、自分が手塩をかけて育てた子供が独立し、社会の中心として活躍するために巣立っていくのを見るようです。白金台キャンパスでは、皆さんの知力が発揮・結集され日々新しい成果が生み出され、様々な医科学研究分野において国際的に先導的役割を果たしています。医科学国際競争の中では、勝つこともあれば、時には負けることもあります。そのような時には、所に帰ってきて充電し、英知を磨き、新しい成果を出して、再度世界での競争に立ち向かうのです。まさしく、皆さんが、日々の疲れを癒し明日へのエネルギーを充電させてくれる暖かい家庭のような存在でありたいと願っています。

 さて、医科学研究所が恒常的に進化・発展し医科学研究分野の頂点に立つ為に必要な5つのポイントを以下に挙げてみました。この5つのポイントは"IMSUT Gogo"の骨子となるものですので、是非皆さんに紹介し共有しておきたいと思います。日本語の数字の"5 (Go)"という発音を英語の"Go"に掛けています。


1. 次世代を担う一流基礎研究者のリクルート

2. 次世代を担う一流臨床研究者のリクルート

3. 医科研の発展を支援するパートナー的組織・機構(Research and Clinical Foundation)の設立

4. 疾病指向型研究の継続的発展をサポートするバイオバンク・リソース
システムの強化

5. 世界に開かれた医科学研究所として頂点を目指す

 国際的競争力のある最先端医科学研究機関として継続的に進化・発展していくためには、次世代を担う一流の基礎および臨床の研究者をリクルートすることが最重要課題であることは言うまでもありません。

1. 癌/腫瘍生物学、ゲノム医科学、iPS/組織再生医学、感染症および免疫学などにおける次世代を牽引する一流基礎研究者のリクルート

2. 最先端基礎研究に立脚した臨床への橋渡し研究が推進でき、医科学研究所附属病院の患者への最先端医療に貢献できる一流臨床研究者のリクルート

 現在、選考委員会と教授会メンバー全員が協力し、上記の条件に当てはまり、当研究所の将来を担う最先端医科学研究者発掘とリクルートに向けて努力をしております。

 世界的に卓越した医科学研究機関として国際的競争に打ち勝ち、頂点に立つためには、法人化後にも立ちはだかる様々な規制・制限を克服し、当研究所の発展を継続的に支援するパートナー組織・機構が必要と考えています。この組織の仮称を"IMSUT Research and Clinical Foundation"または"RCF"とし、医科学研究所のパートナー組織として資金調達と支援、優秀な人材確保と派遣、基礎および臨床研究支援、病院関連業務・事務業務支援などに柔軟に対応していくシステムの設立を目指していきたいと思います。現在の法的拘束・規制のもとでは、この組織・機構の実現に向けては困難な点があるかもしれません。しかし、我々が日々の研究活動で困難に直面した時と同様、我々全員で知力を結集し、知恵を絞れば、その目標達成に向けて乗り越えていけると思います。

 医科学研究所は、初代所長・北里柴三郎教授によって創立されました。創始者の北里先生は、次のような理念を提示しています。病気を理解し、病気を再現し、病気の予防・治療を確立する。これは医科学の本質であり、我々は疾病指向型の医科学研究機関として基礎研究および臨床研究において自らの使命として、その最先端研究を世界に向けて遂行・発信する義務があります。その共通な目的達成に向けて継続的に最先端研究を推進する為には、実験動物、組織、細胞、ウイルス、バクテリア、遺伝子などにはじまりタンパク質・化合物ライブラリーシステムも含めたバイオバンク・リソースシステムを強化していかなければなりません。世界の頂点を目指す医科学研究所の方向性を考えれば、これらはすべて最優先で達成されるべき事柄であります。中でも、特に最新の技術によって作成された遺伝子組み換えモデル動物およびiPS/幹細胞に基づいた大小の実験動物モデルを作製そして飼育することのできる新実験動物施設の建設を最優先事項として進めていきたいと考えています。

 世界の研究者・科学者たちが一流と認める医科学研究機関になるためには、我々自身が医科研の国際化にもさらに力を入れていかなければなりません。現在も国際化に向けて努力はしておりますが、日本の最高学府である東京大学の附置研究所として、我々自身でさらなる国際化に向けてより一層力を合わせ、努力していかなければなりません。そのためには、世界中の優秀な研究者・学生たちを引きつけ、是非とも医科学研究所で研究をしたいと思わせる国際感覚に富んだ魅力と環境がなければなりません。また、逆に医科学研究所で切磋琢磨した優秀な研究者達を世界的に評価の高い大学や研究機関に積極的に輩出していくことも重要となります。このような双方向の国際的研究環境をこの白金台キャンパスで築きあげていく必要があるのです。

 国際性、発展性、競争力を兼ね備えた最先端・次世代医科学研究機関となるために、今日お集まりいただいている皆さんをはじめとして、我々所員全員で力を合わせて行きましょう!皆さんと一緒に歩むことにより、医科学研究所は継続的に世界に羽ばたき、我々の研究生活や日々の病院・事務業務に、より一層の充実感や誇りをもたらしてくれるはずです。


 最後に、私がスローガンとして掲げる"IMSUT Gogo"の意味を記します。

"I"…"Individual Intellectual Power"(個々の知力)
"M"…"Mutual Benefit"(相互利益)
"S"…"Superiority"(優位性)
"U"…"Uniqueness (only one)"(独自性)
"T"…"Talent"(才能)

"G"…"Global"(国際性)
"O"…"Opportunity"(機会)

"G"…"Glory"(栄光)
"O"…"On top, where IMSUT is headed through the efforts of everybody here"(医科研の総力を尽くして世界のトップへ)