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第39回東京大学医科学研究所創立記念シンポジウム所長挨拶

第39回東京大学医科学研究所創立記念シンポジウム所長挨拶

2012年06月01日

本日は、「東京大学医科学研究所第39回創立記念シンポジウム」にお集まり頂き、ありがとうございます。皆さんご存知の通り、今年は北里柴三郎教授が医科研の前身となる伝染病研究所を設立されてから120周年の、記念すべき年であります。 その様な機会に皆さんと一緒に、この講堂で記念シンポジウムを通して、所内外の著名な先生方の最新の医科学研究成果を聞けることを非常に嬉しく思っております。
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昨日から行われているフラッシュ・トークやポスター・セッションで、優秀な若手研究者を中心とする方々から素晴らしい研究成果の数々を発表して頂いています。本日の創立記念シンポジウムでは、自然免疫学およびゲノム医科学の分野で独創的な研究を展開され、世界的リーダーとしてご活躍中の大阪大学免疫学フロンティア研究センター拠点長・審良静男教授、そしてシカゴ大学医学部・オーダーメイド医療センター副センター長と医科研・ヒトゲノム解析センターを兼任されている中村祐輔教授にご講演頂けることになりました。お二人の研究はご自身の知的興味に留まることなく、世界の免疫学とゲノム医科学を先導し、牽引するリーダー 的存在でいらっしゃいます。その姿勢は、まさしく世界の医科学へ貢献しなければならない当研究所の目指す方向と一致しています。

本シンポジウムのテーマである「IMSUT GO GO!  若い息吹きと新たな医科学への挑戦」では、名実ともに、私達医科学研究所が世界の医科学研究のリーダーとなることへの覚悟を示しています。世界の医科学の為に、我々医科学研究所が常にリーダーシップを発揮することが求められています。 それに応えるべく医科学研究所は世界の一流の医科学・生命科学研究者、臨床研究者が、自身の研究室を開設し、研究を推進する場として相応しいと評価するグローバルで且つ魅力ある研究所であることが大切です。さらに、日本はもとより世界の製薬、医学関連企業が共同研究先として、また関連研究機関を開設する場所として、常に第一候補となる存在でなければなりません。また、多くの病気に苦しむ世界の患者さんが医科研病院を必要としています。医科研病院は常に確かな医科学研究に裏打ちされた最新かつ最良の病気の予防法・治療法を提供する場所として、世界のトップでなければなりません。そのために、医科学研究所はいくつかの具体的な目標を掲げ、さらなる進化に向けてすでに始動しております。

先にご紹介しましたように、今年は医科研の前身となる伝染病研究所の設立から120周年、医科学研究所に改組されてから45周年を迎え、5年後には、それぞれ125周年と50周年を迎えます。我々は、5年後に迎えるこの次の大きな節目を目標に、「IMSUT One to GoGo (125/50) プロジェクト」として、自他共に世界のトップと認める最先端医科学の研究所となるべく、更なる進化を目指し、組織の改革・改組に取り組んでおります。

「One to GoGo」の「One」は、「世界の頂点を目指す」という目標と、その目標達成に向けて我々が一つのチームであり、心を一つに一丸となって医科学研究所の輝かしい未来の為に力を注ぐということを表しています。さらに、医科学研究所は世界に一流の人材を輩出する使命を担っており、医科研を離れて他大学・研究機関で活躍する方々も、医科研メンバーであることには変わりなく、互いの成功を目指して切磋琢磨し、心から応援し合うという意味合いも含まれています。また、「GoGo」は単なる掛け声的なものだけではなく、数字の「5」と掛けており、このプロジェクトの中心となる5つの要素を表しています。5つの要素を簡潔に紹介すると、次のようになります。
1. 病気と生命現象の真理探究を通して、新規予防・治療に結びつく基礎医科学研究の次世代を担う優秀な研究者のリクルートと育成
2. 基礎研究に立脚した最先端医療開発への橋渡し研究の推進を先導し、医科研病院の患者さんへ最先端医療を提供できる、次世代を担う臨床研究者のリクルートと育成
3. 医科研の発展を支援するパートナー的外部組織・機構 (Research and Clinical Foundation )の設立
4. 世界に貢献する疾病指向型研究の継続的発展をサポートする「共同利用型ヒト疾患実験動物モデル総合センタービル」をはじめとする新研究棟建設を含めたプラチナウエスト再開発
5. 世界に開かれたグローバルな医科学研究所として頂点を目指す
1と2に関しては、すでに優秀な4名の研究者を教授にお迎えし、「IMSUT One to GoGo (125/50) プロジェクト」の重要な推進力としてご活躍頂いています。川口寧教授、武川睦寛教授、長村文孝教授、藤堂具紀教授の4名で、本日の創立記念シンポジウムでそれぞれご講演頂けることになっています。また、直近では、今年から本格始動いたしました国際粘膜ワクチン開発研究センターに、その中核となる長谷耕二先生と植松智先生を特任教授としてお迎えすることが出来ました。皆さんの益々のご活躍を期待しております。

これら5つの目標は非常に大きな目標であり、達成には医科研の皆さんが一丸となり「TEAM IMSUT」としての協力が必要となりますが、決して不可能なことではないと思っています。我々には、今日ここにお集まりいただいている素晴らしい皆さんがいます。そして、我々には長い歴史と強固な基盤があり、ゼロからのスタートではありません。医科学研究所が世界に開かれた研究所としてさらに大きくはばたくためには、もちろん我々自身の自己意識改革、そして組織としての改革・改組が必要ですが、本日の各先生方の研究内容は、医科学研究所が今後益々力を注いでいきたい分野であり、医科学研究所の進むべき方向性を反映しています。本日お話をいただいた先生方の今後の更なる研究の発展を期待しております。また、今日お集まりいただいた皆様には、今後も医科学研究所の発展に向けて、「IMSUT One to GoGo」プロジェクト達成に向けて、ご協力の程お願い申し上げます。

最後になりましたが、本日の創立記念シンポジウムの開催にあたりご尽力を頂いた村上善則副所長はじめ運営組織委員会の皆様、事務部の皆様、そしてご講演者の先生方にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。