東京大学医科学研究所

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所長メッセージ

平成25年 メディカルゲノム専攻学位授与式 所長祝辞

2013年03月25日

本日ご出席の皆さん、このたびは東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカルゲノム専攻を無事に修了し、学位を授与されますことに、心からのお祝いを申し上げます。また同時に、皆さんを暖かく見守り、支えてこられましたご家族の皆様にも、心からお祝いを申し上げます。
本日皆さんは人生という継続的イベントの中の一つの節目を迎え、同時にまた新しい扉を開こうとしています。人生は、そのようにして次々と新しい扉を開き、その度に新しい事柄を学習していく、学習の連続だと言えると思います。先日、アメリカ大統領に関する本を読んでいましたら、アメリカの歌手であり女優のアーサー・キットとのエピソードが書いてあり、彼女の残したこんな言葉を見つけました。"I am learning all the time. The tombstone will be my diploma" 「私は常に学んでいます。墓石が私の卒業証書になるでしょう」という言葉です。これと似たような言葉で、「学習する事は、一生涯の仕事だ」というユダヤの格言もあるようです。人生をよくマラソンに例えますが、途中、石につまずくことも、後ろから人に抜かれることもあるでしょうが、歩みを止めないことが大切だと思います。是非、色々なことに果敢にチャレンジし続けながら各自異なる人生というマラソンを走りきっていただきたいと思います。
先日の3月11日には、東日本大震災から丸二年を迎えました。犠牲者の方々には改めて心からお悔やみ申し上げますとともに、現在も厳しい状況で生活されている沢山の被災者の方々にも、心よりお見舞い申し上げます。被災地の復興および被災者の方々の支援につきましては、東京大学はアカデミアとしてできることを通して関与し、貢献しております。また、医科研としても共同研究拠点事業を通じ、「東日本大震災被災研究者支援」として共同研究課題の受け入れなどを行ってまいりました。微力ではありますが、私達は医科学・生命科学研究、教育、医療を通して継続的に復興に関与し、今後も所一丸となって直接的・間接的に貢献していくつもりであります。このような歴史的国難と言うべき試練に直面し、我々国民一人一人が日本再生に向けて様々なことに果敢に「挑戦」する精神を求められていますが、これからの日本の医科学・生命科学研究を背負って立つ皆さんにも是非、科学者魂"Spirit of Scientist"を発揮していただき、自分たちが得意とする、または専門とする領域で、日本の継続的発展のために最大限の貢献ができれば素晴らしいと思いますし、それが直接的・間接的に復興にも貢献すると信じています。
医科学研究所は昨年2012年に、北里柴三郎博士が創設された伝染病研究所の時代から数えて創立120周年、医科研に改組されてから45周年を迎えました。この歴史ある伝統を大切にしながらも、次世代に向けての継続的進化の為の第一歩を踏み出すべく、また、自他ともに医科学・生命科学分野において世界トップと認める研究所となるべく、更なる進化を目指し、現在医科研は組織の改革・改組に「挑戦」しております。この新しい体制作りは、2017年、つまり伝研から125周年、医科研50周年となる節目の年を目指して推進しており、医科研(IMSUT)が125/50周年を目指して、世界の頂点に立つ、Number One になるという意味を込めて"IMSUT One to Gogoプロジェクト"として所のメンバー一丸となって目標達成を目指して進んでいるところです。つまり、「伝統は守るものではなく、常に創出することです。」 
皆さんはこれから社会に出て企業活動に参加したり、博士課程に進学されたり、博士課程を修了して更に研究や教育を続けたり、若しくは全く異なる分野・領域に進まれたりと、それぞれ思い思いの道に進まれるかと思います。どんな道に進もうとも、是非皆さんには、本学、大学院メディカルゲノム専攻を通して白金―柏キャンパスで学んだ医科研メンバーであることを誇りに、また蓄積した知力・実力を糧に、積極的に前進していただきたいと思います。そして、各専門分野・領域・業界で"Only One"の存在となり、輝きを持って成長し続け、日本社会はもちろん、世界を先導して行って下さい。
医科学研究所では、皆さんのように世界の先頭に立って活躍する可能性を秘めた優秀な大学院学生や若手研究者を毎年のように育て、社会に輩出していることに誇りを持っています。本日学位記を授与された皆さん全員が私達教員にとっての誇りです。我々は常に世界のトップを目指して、国際競争の中で切磋琢磨していかなければいけません。しかし、ナンバーワンを目指した国際競争の中では、勝つこともあれば時にはもちろん負けることもあります。思うようにいかず、挫折を感じた時には、原点に立ち戻り、充電することも必要です。そんな時、医科研は皆さんの母校です。必要な時には、この白金キャンパスに帰ってきて、明日へのエネルギーを充電させ、更なる挑戦に立ち向かって行って下さい。
是非、皆さんには、医科学・生命科学を通してより良い社会づくりに貢献する創造性あふれるリーダーとして、日本だけではなく世界の発展の為に活躍していただきたいと願います。この祝辞の冒頭で「生涯学習し続ける」というお話をしましたが、学習を続けるには勇気も必要です。「勇気を失う者はすべてを失う」という言葉がありますが、勇気は学習の原動力と言えるかもしれません。是非、困難に立ち向かう勇気と積極性、そして挫折を恐れない勇気を失わずに前進して行って下さい。皆さんには無限の可能性があります。皆さんの今後益々の活躍に期待し、また、これからの人生に幸多きことを祈念し、お祝いの言葉とさせていただきます。