東京大学医科学研究所

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所長メッセージ

2012年 所長新年挨拶

2012年01月06日

所員の皆さん、新年明けましておめでとうございます。新年早々、皆さんにはお集まりいただき有難うございます。年末・年始にかけて、皆さんご家族、ご友人とご一緒に安らかな時を過ごされ、1年の疲れを癒し、また、2012年に向けて英気を養われたことと思います。
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2012年所長年頭挨拶の機会に、まず今日お集まりの教員と病院の先生方、ポスドク、院生、技術職員、病院スタッフ、事務職員の皆さん、昨年は最先端医科学研究の推進と様々な病気で悩む患者さんに最新の医療を提供していただき有難うございました。当研究所初代所長の北里柴三郎先生の「実学を目指した真理探究による病気の予防・治療の開発」、「世の中に役立つ学問」という当研究所に脈々と流れる理念の継承と具現化に向けて、日々ご尽力、ご協力いただき、心から敬意を表し、本年も引き続きよろしくお願い申し上げます。

昨年は3.11の東日本大震災と福島原発事故にはじまり、様々な激動と困難な局面に直面する年でしたが、皆さんと一緒に「Show the Spirit of Scientist」、「 研究者魂」をかざしながら、最先端研究と医療を介し、そして「絆」に代表される人の心からなる「和」と「繋がり」を通して復興に貢献することが出来ました。今年も、3.11の自然災害により他界された方々、被災された方々の気持ちをお互いに思い出しながら、復興の過程に最先端医科学研究と医療を通して貢献しなければいけません。年末の陸前高田市の一本松のライトアップを見ながらその思いが深まりました。皆で頑張りましょう。

2011年は日本だけではなく地球レベルで自然災害、政治の混迷、経済的混乱など社会そして大学にとっても大変な年でした。一方で、明るく、我々を勇気づけ、さらに我々医科研が、2012年を出発点として目指す道の重要性を、日本の女性達が見せ、認識させてくれました。それは、「なでしこJapan」のWorld Cupでの優勝です。「なでしこJapan」は世界でナンバーワンになる素晴らしさとそれを目指す努力の重要性を私達に再認識させてくれました。優れた個人技を有する選手とそれを陰で支えるスタッフが、世界一を目指して、一致団結して進む姿に、チームワークがいかに大事かということを学びました。これは、世界最先端と言える医科学各分野における個の知力、知的興味を中心とした医科学研究を推進する一流の研究者から構成される医科研が、それを支えてくれる職員全員の皆さんと一緒に世界の頂点に向かって前進する為にも、非常に大切です。 最先端医科学を推進する研究所・病院として世界の頂点を目指すために、大同小異、Team IMSUTとして2012年から始まる"IMSUT One to Gogo"プロジェクトを、今日ここにお集まりいただいている皆さん、そして、今、研究室、病院、事務において業務につかれている皆さんと全員一緒に進めていきたいと思います。

では、"IMSUT One to Gogo"についてお話ししたいと思います。今年は、私達医科研にとって、記念すべき節目の年となります。当研究所の創始者である北里柴三郎先生が伝染病研究所を起こされてから120年、そして我々の先輩の先生方が先見の目で、医科学研究所に改組されてから45年を迎えます。本年は過去を振り返り、祝うのではなく120年という伝統は大切にしながら、2012年は、医科研の継続的進化の為の新しい第一歩として位置づけています。東京大学医科学研究所が世界の先端医科学研究を継続的に先導し、感染症、癌、免疫病などの難病で困っている国内はもとより、世界中の患者の皆さんに、ゲノム医学、再生・iPS医学などの最先端技術を駆使して、新規の予防・治療に結びつく研究成果を世界に発信し、国際通用力そして国際的魅力ある研究所として、さらなる進化をする為の改革・改組を目指そうと考えています。

私が誇りに思う当研究所の教授陣そして若手研究者は「感染、免疫、癌、ゲノム、再生など」の基礎・臨床研究で、世界に誇る研究を推進していますが、組織として、研究所としては、残念ながら世界のNumber One研究所にはなっていません。そこで、その個々の力を結集して、一丸となって、組織として、研究所として、東京大学医科学研究所が自他ともにNumber One,世界の頂点に立つことを目指して、第一歩を踏み出したいと考えています。その組織、体制作りを、2017年、つまり伝研から125周年そして医科研50周年の節目の年を目指して推進していきたいと思います。Number One,125, 50が鍵を握る数字となり、その"5"は日本語で"Go"です。また、私が昨年の4月の就任の御挨拶の際に申し上げた医科研スローガン"IMSUT Gogo"と合わせて、"IMSUT One to GoGo"プロジェクトとして,皆さんと一緒にTeam IMSUTとして、その目標達成に向けて進み続けていきましょう。

そのキックオフといことで、昨年の12月の後半に1泊2日の教授会リトリートを開催し、"IMSUT One to GoGo"推進に向けて、忌憚のない意見交換、議論。検討する場を持つことが出来ました。

"IMSUT One to GoGo"の骨子は、昨年の4月にこの講堂で皆さんに紹介した5つの柱からなり、それは変わりません。つまり、再確認の意味も含めて、簡単に紹介いたします。

1. 病気の真理探究を通して、予防・治療に結びつく基礎医科学研究の次世代を担う優秀な研究者のリクルート

2. 基礎研究に立脚した最先端臨床への橋渡し研究の推進を先導し、医科研病院の患者への最先端医療に貢献できる次世代を担う臨床研究者のリクルート

3. 医科研の発展を支援するパートナー的組織・機構 (Research and Clinical Foundation )の設立

4. 世界疾病指向型研究の継続的発展をサポートする「共同利用型ヒト疾患実験動物モデル総合センタービル」をはじめとしたバイオバンク・リソースシステムの強化

5. 世界に開かれた医科学研究所として頂点を目指す

以上、5つのポイントです。

既に、ポイント1と2については、教授会での活発な議論、検討を踏まえて、基礎系に関しては、次世代感染症研究を先導していただける川口先生が昨年の10月から教授に昇任されました。また、この4月から基礎研究に立脚した病気の真理探究を進めていただける武川先生が、教授として名古屋大学からお迎えする予定です。 臨床系では、ウイルスの分子生物学的基盤に立脚した斬新な脳外科学を推進されているTR期待の人材である藤堂教授を7月にお迎えし、さらに最近では,昨年の12月に当研究所病院で、TR, 治験、医療安全管理などでご尽力いただき、医科研病院の研究所にある病院としての顔の根幹的かつ屋台骨的役割を果たしていただいている長村先生の教授昇任が決まりました。この4名のフレッシュな教授陣には医科学研究所と病院の次世代を担っていただける若い優秀な基礎系、臨床系教授として"IMSUT One to GoGo"の推進に向けて、皆さんと一緒にその推進力の中心となって貢献してくれると思います。

浜田総長が掲げられている行動ビジョン・シナリオ、「知の森を動かす」がありますが、医科学研究所は、当研究所の伝統の中に培われてきた「医科学・生命科学の森を動かし」、そして病気で悩んでいる患者さんの為に医療に反映できる基礎・臨床研究基盤とその成果を世界に向けて発信し、人類の病気との戦いに貢献し続けなければいけません。その視点からも「Bench to Bed, Bed to Bench」という基礎・臨床双方向性相乗的研究推進の環境構築が重要です。今までの医科研と附属病院という関係ではなく、病院を有する唯一の大学附置研究所として研究所と病院の一体化が益々必要になってきます。それを大きな特徴として、研究所と病院が国際的通用力と国際的魅力ある姿に進化していけるように、皆さんと一緒に2012年は大きな第一歩を踏み出したいと思います。

その思いを込めて、最後に医科研の正門の前に出来た、まばゆい新しい医科研サインについてご紹介します。このサインを出すにあたっては今井病院長そして古川教授そして事務の皆さんにはご尽力いただき、感謝申し上げます。あの看板は円形をしていますが、三つの思いが込められています。

1. あの円形は地球を意味しています。つまり、医科研が世界の頂点を目 指す。"Top of the World" "Road to the Top" です。

2. また、円形は日本語で「わ」と言います。つまり「和」そして「絆」意味しており、TEAM IMSUTとして、一丸となって"IMSUT One to GoGo"を進めていくという決意を表しています。この「一丸」の「丸」は日本語で円形を意味しています。


3. 医科研病院が円形のサインの中で、一番上に表記されていますが、先程から何度かお話ししていますが、医科研の原点は「真理探究に基づく実学、つまり病気から学びそしてそれを予防・治療として医療に戻す」であり、その視点から所と病院の一体化が重要です。それを常に念頭に日々の医科学研究を推進することを思い、一番上に医科研病院をもってきました。

最後に2012年が、TEAM IMSUT/IMSUT Familyメンバーとして、今日お集まりいただいている所員の皆さん、そして研究室、病院、事務の業務の為にお集まりいただけなかった所員の皆さん自身とそしてご家族の皆さんにとって、健康で、素晴らしい年である事を祈念して、私の年頭の挨拶としたいと思います。御清聴有難うございました。