東京大学医科学研究所

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所長メッセージ

平成20年 年頭の挨拶

2008年01月07日

 皆さん、明けましておめでとうございます。
 ご家族や親しい人たちと、晴れやかな新年を迎えられたことと思います。

 医科研執行部は、昨年の4月から新しくスタートし、何とか皆様のご支援とご協力で無事に新年を迎えることが出来ました。そして、2008年、平成20年、は医科学研究所が次の時代に向かうためのターニングポイントの年にしたいと考えています。そこで、今日はそのことについて少しお話をしたいと思います。

 ここ数年、我々はどうも今までと違う時代に突入しつつあるのではないかということを感じてきました。昨年も、国内問題でも、国外問題でもこのことの確信を深めざるを得ない年だったように思います。昨年末のことで思い出すのは、2007年「今年を表す漢字」として、応募者の約20%が偽りの「偽」を選んだということがあり、大変ショックなことでした。食品を始め、政治、経済、スポーツの世界にまで偽りが溢れていて、我々の社会を支えている根底が揺らいでいるという不安感を強く感じた年でした。恐らくこういった「うそ」は今までも社会の色々なところにある程度はあったのでしょうが、ここにきて、これほど話題になるということは、今まで我々が信頼してきた日本社会のシステムを変えないと駄目なのではないかという社会全体の不安感と焦燥感の表れのように思えます。

 このような日本のシステムの老朽化と不安定感は、世界が急激に変化し、流動化しているということと大いに関係がありそうです。それには、宗教・文化の対立、経済的弱肉強食の競争、それらに起因する紛争や戦争がありますし、他にも、環境変動・温暖化、新興・再興感染症の脅威、人口問題などがあります。世界が新しい、適切なバランスを必要としていることを感じます。これ等は、世界が協力して対処する必要がある問題です。日本は、このことを十分に織り込んだ社会変革をしないと、不安定からの脱却は出来ないでしょうし、国際社会の中での地位も低下するでしょう。良くも悪しくも、社会のあらゆる側面で進行しているグローバル化ということを真剣に受け止めざるをえない時代になったと思います。

 日本という国はこれまで、どちらかというと、このグローバル化は嫌いで、その流れの中をゆっくりと流されない様にと思いながら歩いてきたように思います。しかし、その流れは最近では、もはや、流れに身を任せざるを得ないほどの急流になっているように見えます。
 最初にターニングポイントの年と申し上げましたのは、我々がすでにこういった急流の上に乗っているという覚悟を決めなければならないところに来たという意味であり、その上で、着地点を見据えながら流れを乗り切る必要があるということです。グローバル化に対してこれまで取ってきた対症療法的な対応から、戦略的なポジションに明確にシフトすべきときと考えます。医科学研究所も当然のことながらその対応が必要です。

 しかし研究者にとっては、これまでも常に世界を相手に研究を展開しており、いまさら言われるまでも無いという思いもあります。実際に研究者個人のレベルでは全くそのとおりであり、私自身もそう思ってきました。しかし、私が今日申し上げたいのは、日本という社会、そしてその中にある医科学研究所が、個人レベルではなく、組織としての戦略を立てなおす必要があるということです。
 国際化とかグローバル化というと英語を流暢に話すことを思い浮かべます。無論それに越したことはありません。しかし、もっと重要なことは、我々自身がその中で生きる覚悟を決めることであり、医科学研究所が組織として世界を許容する体制を構築し、その中で設置目的を果たす戦略を持つということです。

 2008年の年頭に当たり、グローバル化ということの重大さを再認識し、その中で生きる覚悟を職員の皆さんと共有したいと思います。そして、対応のための作業を始める年にしたいと思いま。
 最後に、新しい年が皆様にとって輝かしく、希望に満ちた年となりますよう、心から祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。