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分子療法分野の紹介
関連項目: ご挨拶
血液腫瘍内科の紹介


当研究分野は臨床部門として医科研付属病院 血液腫瘍内科を抱え、主に白血病・リンパ腫など難治性血液疾患に対する細胞・遺伝子・タンパク質・低分子化合物を利用した新規治療法の開発を目指しています。 また、その基盤的研究として、細胞生物学および分子生物学的な手法を用いて正常造血機構やその破綻に起因する白血病やリンパ腫など各種病態の解析に取り組んでいます。


(1) 各種ウイルスベクターによる治療遺伝子の導入とその効果に関する前臨床研究:
染色体転座に起因する融合遺伝子の機能は、それを有する白血病細胞の生存維持に重要です。 このような白血病特異的融合遺伝子mRNAを選択的に切断するマキシザイムやshRNAの効果を培養細胞のシステムで検討しています。 例として、BCR-ABL mRNAを特異的に切断するマキシザイムやshRNAをレンチウイルスベクターによってPh染色体陽性白血病細胞に導入し、生物学的作用を調べています。 レトロウイルスやアデノウイルスなど他のウイルスベクターによる造血細胞への遺伝子導入も検討しています。

(2) 抗体やサイトカインなどのリガンドを用いて標的細胞へ薬剤を特異的に送達するターゲティング技術の開発ならびに分子標的治療薬の前臨床研究:
特定の組織・細胞に発現する接着分子や表面抗原、 サイトカイン受容体を指標として抗ガン剤・生理活性物質を供給する細胞標的療法やサイトカインと融合させた細菌毒素を用いてそのレセプター発現細胞のみを駆逐する標的トキシン療法の開発に取り組んでいます。 また、白血病細胞に対する新規シグナル伝達阻害剤の効果や移植後の移植片対宿主病に対するサイトカイン合成阻害剤の効果を検討し、 これらの臨床応用を模索しています。

(3) キメラ遺伝子やテロメレース逆転写酵素遺伝子など腫瘍特異的遺伝子発現を指標とする腫瘍幹細胞の動態解析と治療における分子標的の探索:
悪性腫瘍の効果的・根治的治療のためには腫瘍幹細胞の排除が必要です。 そこで、造血器腫瘍、特に白血病の幹細胞の同定とその性状解析を目的としてウイルスベクターによるマーキング技術やフローサイトメトリーを利用した研究を行っています。

(4) 幹〜前駆細胞と間葉系細胞の相互作用に基づく正常および異常造血機構の解析:
生体内での造血は正常・異常を問わず、造血微小環境との相互作用によって維持されています。 これを試験管内で模倣するため、造血支持能力を有する骨髄由来ストローマ細胞と正常ないし異常造血細胞との共培養系を利用した解析を行っています。 薬剤に対する反応性や分化・増殖に及ぼす外来遺伝子発現の影響をこの系で検討しています。


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最終更新日:2005年8月5日
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