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進行中の治験

臨床研究名 悪性黒色腫患者を対象としたインターロイキン12発現型遺伝子組換え単純ヘルペスウイルス1型の第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験
始めに この医師主導治験は、悪性黒色腫に対する新たな治療法の開発を目的に、信州大学医学部附属病院皮膚科と東京大学医科学研究所附属病院脳腫瘍外科で実施します。用いられる治験薬はT-hIL12という遺伝子組換え型単純ヘルペスウイルスであり、治験実施計画は信州大学医学部附属病院ならびに東京大学医科学研究所の治験審査委員会の承認と、規制当局での審査を経ています。
新しい治療薬の開発は、一般に、安全性を確かめるための臨床試験を行ったのち、少数の患者さんを対象に治療効果を調べる臨床試験を行い、その上で大勢の患者さんを対象に臨床試験を行います。今回の臨床試験は、その一番目と二番目の段階で、 参加されても病気の回復に結びつかない可能性があります。しかし、このような臨床試験が進めば、悪性黒色腫に対する新しい治療法を確立するために役にたつ可能性があります。
試験の概略 この医師主導治験の対象となるのは、切除不能又は転移がある悪性黒色腫の患者です。一番目の段階では、免疫チェックポイント阻害薬あるいは分子標的薬による治療をすでに受け、腫瘍が再発もしくは大きくなってきている場合や、腫瘍が残っている場合です。二番目の段階では免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブをファーストラインの全身療法として投与する場合です。悪性黒色腫は皮膚がんの一種で、現在のところ手術や化学療法、放射線治療などを組み合わせた総合的な治療が行われていますが、進行を食い止めることが困難な病気です。今回の臨床試験は、増殖するウィルスで腫瘍細胞を破壊するという新しい治療方法を試みます。T-hIL12という遺伝子組換え単純ヘルペスウィルスを腫瘍内に投与します。
T-hIL12のもととなった単純ヘルペスウィルス1型は、口唇に水疱を生じる口唇ヘルペスの原因ウイルスですが、ごくまれに角膜炎や重症の脳炎を起こすことが知られています。単純ヘルペスウイルス1型の3つの遺伝子に遺伝子組換え技術を用いて人為的変異を加え、腫瘍細胞だけで増殖し正常組織を傷つけないように工夫したのがT-hIL12です。T-hIL12を腫瘍に感染させると、T-hIL12が増殖→腫瘍細胞を破壊→増えたT-hIL12が周りの腫瘍細胞に感染→T-hIL12が増殖→腫瘍細胞を破壊、を繰り返して腫瘍を縮小させると期待されます。さらに、T-hIL12はT細胞依存的な免疫反応に不可欠なIL-12が組込まれており、抗腫瘍免疫を強力に高める機能が付加されたウイルスです。今回の医師主導治験は、T-hIL12が安全か、そして有効かどうかを確かめることが第一の目的です。

参加のための
主な規準
【第I相試験(開発の一番目の段階)】
o 病理診断で悪性黒色腫と診断されていること。
o 免疫チェックポイント阻害薬あるいは分子標的薬の投与後の腫瘍の再発、腫瘍増大あるいは残存であること。
o 皮膚・皮下あるいは浅い部位のリンパ節に病変があること。
o ある程度自立した生活ができる程度の病状であること。
o 20歳以上であること。
o 重篤な合併疾患や検査値異常のないこと。
o 他のがん治療用ウイルスの投与を受けたことがないこと。

【第II相試験(開発の二番目の段階)】
o 病理診断で悪性黒色腫と診断されていること。
o 腫瘍の再発、腫瘍増大あるいは残存があり、ニボルマブをファーストラインの全身療法として投与する場合であること。
o 皮膚・皮下あるいは浅い部位のリンパ節に病変があること。
o ある程度自立した生活ができる程度の病状であること。
o 20歳以上であること。
o 重篤な合併疾患や検査値異常のないこと。
o 他のがん治療用ウイルスの投与を受けたことがないこと。
資料 プレスリリース(PDF1.2MB)

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