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     研 究 内 容  
 

 

 

消化器がんの発生、進展メカニズム解明

遺伝子改変動物を用いたがん関連遺伝子の機能解析、及び新規発がんマウスモデルの確立

遺伝性非ポリポーシス大腸がん(HNPCC)の遺伝子解析

がん発症に関わる先天的および後天的ゲノム変異の解明

推薦図書

Microarray Data

 
      


1.消化器がんの発生、進展メカニズム解明  
     
 

 ヒトのがんの発生・進展には、増幅や欠失、突然変異といった遺伝子の構造変化の他、数多くの遺伝子の発現異常が関与している。我々は、次の2つのアプローチでがん化のメカニズムを明らかにし、その診断・治療・予防法の開発のための研究を行っている。

(1)網羅的な遺伝子発現データベースの中から、腫瘍で発現が変化している分子に着目し、それらの分子の機能解析を行っている。 これまで、SMYD3, MRGBP, DSCC1などの分子の機能解析を行ってきた。これらの分子の機能解析の結果、がん化に関わる新たなメカニズムが発見され、それらを標的とした治療法の開発を目指して研究を進めている。

(2)がんの発生や進展に重要と思われるシグナル伝達系の中で、大多数の大腸がんや肝がんで異常があるWntシグナルに注目し、そのコンポーネントの一つAXIN1の遺伝子解析を行い、肝がんで異常があることを突き止めた。さらにその異常がもたらす転写因子Tcf4の活性化を確認し、その結果転写が活性化あるいは抑制される下流遺伝子の同定、機能解析を試みた。すでにMT1-MMP, Claudin1などのがんで発現増加する下流遺伝子を発見している。

 
     
     
  2.遺伝子改変動物を用いたがん関連遺伝子の機能解析、及び新規発がんマウスモデルの確立  
     
 

 ヒト腫瘍の発生・進展メカニズムの解明及び治療法の開発にとって、マウスなどのモデル動物は非常に有効なツールである。我々は遺伝子改変マウスを用いて、ヒトのがんに深く関わっている遺伝子の生理的機能を明らかにするとともに、新たな治療法の開発に貢献することを目指して研究を行っている。

(1) 大腸癌、肝癌などの腫瘍において発現が増加しているヒストンメチル化酵素SMYD3とそのファミリー分子について、遺伝子改変マウスを用いて機能解析を行っている。

(2) ヒトのがんに似た組織像を呈する新規肝内胆管癌および膵癌マウスモデルを用いて、がん化のメカニズムを解析している。また、ヒトのがんでの遺伝子変異を再現する新たなコンディショナルノックインマウスを作製し、新規発がんマウスモデルの構築を進めている。

 
     
  3.遺伝性非ポリポーシス大腸がん(HNPCC)の遺伝子解析  
     
 
 HNPCCは家系内に多くの大腸がんやHNPCC関連腫瘍を発症する遺伝性疾患である。我々は、日本におけるHNPCCの臨床遺伝学的特徴を明らかにし、発端者ならびに近親者に対するより適切な医療サービスを提供する為に、大腸癌研究会との共同研究として、HNPCC患者の遺伝子解析をおこなうプロジェクトを実施しました。
 
     
  4.がん発症に関わる先天的および後天的ゲノム変異の解明  
     
 

(1) がんの発症には、先天的な遺伝的背景と、後天的な環境因子の両方が関与しています。我々の研究室では、次世代シークエンサーを用いて家族性腫瘍(ポリポーシス)などの先天的ながん体質と関係する遺伝子変異の同定や、加齢や食事、酸化ストレスなど後天的な環境要因による遺伝子変異・エピゲノム変異を明らかにすることを目指しています。これらの変異の中から、がんの発生や進行を促進する重要な遺伝子・エピゲノム変異(ドライバー変異)を明らかにし、適切な遺伝子診断や治療薬選択、あるいは予防に役立てることを目指しています。

(2) がん化に関わる先天的・後天的なゲノム・エピゲノム解析研究とともに、当研究所内のヒトゲノム解析センター、ヘルスインテリジェンスセンター、医科学研究所附属病院と連携して、次世代シークエンサーで解析した患者の遺伝子情報を本人に返却し、診断・治療に役立てる臨床シークエンス・プロジェクトを開始しました。このプロジェクトでは、IBM社が提供する人工知能・コグニティブ(情報や経験に基づいて自ら学習する)システム(Watson Genomic Analytics)を導入し、アジアで初めて人工知能を用いた臨床がんゲノム解析研究を行っています。

 
     
  推薦図書  
 
変わる遺伝子医療(ポプラ社)
  〜私のゲノムを知るとき

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