4. 受動的DNA脱メチル化と細胞分化


 
哺乳動物細胞は、同じゲノム上の遺伝情報を持ちながら、多様な形質を持つ細胞集団から構成されている。 多様な形質を生み出す分子基盤は、細胞固有の遺伝子発現パターンであるが、このパターンを規定している機構の一つとしてDNAメチル化が知られている。すなわち、細胞はそれぞれ固有のDNAメチル化パターンを持っており、このパターンが細胞形質を規定すると考えられる。分化した細胞は、細胞分裂に際してこのDNAメチル化パターンを維持している(DNA維持メチル化)。このことは、DNAメチル化パターンを変化させて細胞は分化誘導していると考えられる。
DNA維持メチル化機構の解析から、ヒストンH3分子のユビキチン化により制御されることが分かったので、現在、ユビキチン化部位のアセチル化・メチル化修飾の制御が細胞分化に重要な役割を果たしていると考え、研究を進めている。