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東京大学医科学研究所附属病院抗体・ワクチンセンター長としてご挨拶申し上げます。

当センターは、平成24年(2012年)、今井浩三教授(初代センター長、現客員教授)が第19代病院長に就任後まもなく設置され、平成24年度概算要求事業「革新的抗体・ワクチン臨床試験実施のための First in Man(FIM) 専門職連携・人材育成事業」の支援を受けて活動しております。歴史を紐解きますと、東京大学医科学研究所は明治25年(1982年)、北里柴三郎により大日本私立衛生会附属伝染病研究所(伝研)として創立され、昭和42年(1967年)に現在の姿に改組されました。伝研は、わが国における伝染病研究・医療の中心的機構として、ペスト(明治27年北里柴三郎)、赤痢(同30年志賀潔)などの病原体の発見、明治27年の北里によるジフテリア血清製造にはじまるワクチン・抗血清など細菌学的製剤の製造、そして、伝染病に対する医師・衛生行政関係者の教育、に多大な貢献をしてまいりました。

現在、医科学研究所は、感染症、癌その他の難病の学理の解明とその応用をミッションとして、新しい医療の研究・開発・臨床への橋渡しを推進しております。とくに、大学附置研究所としては国内で唯一保有する附属病院は、既存の概念にはとらわれない革新的研究成果をいち早く医療や創薬などに繋げるための橋渡し研究拠点として活動しています。「時代の要請を受けて病の学理を究明し新しい医療を創成し実践する」という創立以来の理念は強固に受け継がれております。

しかし、新しい医療を実践するためには、通常の臨床試験に向けた体制を基盤に、先駆的シーズ開発に必要な先端医科学を理解し高い生命倫理感を有する人材の育成・参画による高度な多職種連携体制を構築することが喫緊の課題であります。当センター設立の趣旨はまさにこの課題の解決であります。開設後5年余ではありますが、すでに、先駆的シーズの臨床試験を新規に開発し、on the job trainingによる卓越した人材の育成を行って附属病院における医師主導型臨床試験実施にまで発展させております。育成された人材は国内外の多くの施設に活躍の場を広げており、当センターはまさに次世代の先端医療を担う教育機関としても機能していると申せます。

今後も、社会連携講座開設などを含む産学共創事業をも活発に展開して、難病に立ち向かう人々に希望を届けるべく、伝研開設以来のレガシーともいえる「抗体・ワクチン」の名を冠した組織として恥じぬよう、なお一層努力してまいります。

 
田 中 廣 壽